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集替わりコラム


2005.6.22
配線部長

鳴海君が持っていたメモにはびっしりと、通信機器の修復方法が書き記してあった。
「こいつはすげぇな。俺も知らないコマンドがいくつかある な」
「『べっぴんさんの裏技コマンド大公開!』って感じ?」
「ま、そんなとこだな」
鳴海君が持っていたメモを見て、トメさんはうんうん唸っている。
あのトメさんを唸らせるくらいだから、相当すごいものに違いない。
けど、コンピュータに疎い僕としては、それはただの紙切れにしか見えない。
ちなみに、『べっぴんさん』とはこの宇宙船のコンピュータの名前だ。
「これ役に立つ?」
「ああ、十分役に立つよ」
トメさんが鳴海君の頭をなでると、満面の笑みで喜んだ。
「僕は何をすればいいかな?」
「まぁ待て。これからこいつを整理するから、紙とペンを持っ てきてくれ」
そう言うと、トメさんはドカッと座り込んでまた唸り始めた。
僕は紙を取りにオペレーションルームへ向かった。

「えっと、これをこうして……」
慣れない手つきでコンソールを操作すると、なんだかよく分からない、大量の文字が ディスプレイに並ぶ。
トメさんが整理した手順書を見て、僕はコンソールに向かってコマンドを入力してい た。
隣では鳴海君がじっとその様子をうかがっている。
そして、トメさんはまた船外活動中だ。
「ふぅ。これって意外と疲れるな」
僕が外で作業したほうがよかったかな。
正直、ここに表示されている文章の意味がよくわからない。
これは間違ったことをしてるんじゃないだろうか、そう考えてしまう。
「ま、それもあと少しだ。残りは最後まで一気に入れてしまう ぞ!」
僕は気合を入れなおして、再びコンソールへと手を伸ばした。
「――おい小僧、そっちはどうだ?」
「あと少しかな」
「そうか。こっちは終わったぞ」
さすがトメさん。作業は迅速だ。
僕も早く入れてしまわないと。
「……あ!」
最後のコマンドを入力している途中で、僕は手を滑らせてしまった。
スクリーンには大量の赤いエラーメッセージと警告音が鳴り響いた。
「あわわわわ〜」
いきなりの出来事に僕はパニックになっていた。
思わずあたりをキョロキョロして、誰かに助けを求めて……この事態を何とかして!
「どうした小僧!」
トメさんが何かを言っている……みたい。
そんなことも耳に入らないほど、僕は冷静さを失っていた。
そのとき、隣でじっと様子を見ていた鳴海君がコンソールをたたきだした。
「落ち着いて!私が何とかするわ!」
「な、鳴海君?」
「ちょっとその椅子を貸して頂戴!」
そう言うと、僕から椅子を奪い取った。
口調が変わった鳴海君の小さな手がコンソール上で踊る。
僕はただ、それを後ろから見ていることしかできなかった。




2005.4.23
ryuichi

 メインコンピュータの再セットアップ作業を続ける。
 トメさんは船外で配線をいじっている。
 空腹感はあるが、鳴海くん特製サンドイッチのおかげで直ぐに満たされそうだ。
 僕は傍らの皿に手を伸ばす。
「おい小僧。繋いだからもう一回トライしてみろ」
「わかった」
 掴んだサンドイッチを口に押し込み、期待を込めて指を動かす。
 しかし、ディスプレイには赤いエラーの文字が表示されるのみ。
 空腹感は満たされても焦燥感は未だ満たされない。
「くそっ。またダメだ」
 無意識にコンパネを叩く。
 さっきからこんな事ばかり繰り返し、既に5時間が経とうとしている。
 
「特に問題は無いはずなんだがな…」
「…」
 トメさんが船内に戻ってからも、気分は晴れなかった。
 死んでいる機能はあらかた復旧させたが、どうしても通信系の機器だけは生き返らなかった。
 通信系の機器が死んでいるという事は、船が死んでいる事を意味する。
 死んでいる機器にはGPSも含まれる。
 広大な宇宙空間で現在地を見失っている現状は、太平洋のど真ん中で漂流する手漕ぎボートのそれと等しい。
 生命維持装置が生きているおかげで即死は免れたが、自足できなくなった時点でアウトになる。
 ビー球どころではなくなった。
 
 流れる沈黙。夢なら覚めてくれ。
 思いつく事は全て試したが、良い結果は未だ見えていない。
 もうどうしようもない事は感じていたが、声に出すと永遠に夢から覚める事が出来なくなりそうで、沈黙を破る事は出来なかった。
 突然、ガシャンと派手な音が響いた。
「何事だ!」
「行ってみよう」
 二人で慌てて音のした方へ駆けつける。
 場所は通信室だった。
 辺りにはドライバーやペンチ等の工具がぶちまけられている。
 そして半ベソの鳴海くんが居る。
 状況証拠は、犯人は鳴海くんだと明言していた。
「ダメじゃないか!子供は大人しくしてなさい!」
 つい怒鳴ってしまった。
「失敗を責めたところでどうにもなるまい。自分も役に立ちたい、そう思ってやった事なんだろ?」
「ご、ごめんなさぁぁぁい」
 トメさんのフォローも空しく、鳴海くんの半ベソは、とうとう全ベソになってしまった。
 
 鳴海くんが泣き止むまで、僕とトメさんはずっと通信室で彼の傍に居た。
 慰めの言葉は見つからなかった。状況は3人とも同じだ。
 彼は、泣きたい僕の分まで涙を流してくれているような気がした。
 
「ねぇ、工具箱持ってココに来たって事は、機械に詳しいの?」
 素直に思った事を聞いてみた。
「あぁ、確かにお前さんみたいなちっこいのが、生命維持装置の復旧やら何やらが出来るなんざ、にわかには信じられん」
「僕、機械の事なんてわかんないよ」
 涙は出尽くしたようだ。鳴海くんはあっけらかんと答えた。
「おじさんが助かる方法を書いてくれたんだ」
「おじさん?」
 鳴海くんは一枚の紙切れを見せてくれた。
 紙切れには、死んでいる装置の生き返らせ方が書いてあった。
「やったぞ小僧!俺達はまだ見捨てられちゃいねぇみたいだ!」
「どういう事?」
「第8世代はまだ生きているって事だ」





2005.4.25
KAZUBOH

もうあれだ、ペンネーム恥ずかしいから使わね(爆

気が付いたら今月の7日で、BAGHAUSも5年目に突入したわけであります。 結成当時は「ゲームを作ろう」と目的がハッキリしていましたが、最近はどうかなーと色々考えさせられるものがあります。 実際ハタから見れば何の集団か解らんでしょうが、 あえて客観的に言うなればまぁ「グーニーズ」みたいなものでしょうか?  「肩書き」で以って集い、何かをするという点では結成当時から変わっていないような気もします。

最近、仕事をする事で「物作り」の難しさを学ぶ毎日です。 パーツを作る事は誰にでも出来ても、それをくみ上げて1つの作品に仕上げる事はやはり難しいですね。 そして私事ですが、最近は創作活動としてチマチマと「漫画」を書き溜めるようになりました。 いざ描いてみると、話の道筋を立てる事の難しさに引っかかりますね。 如何に今まで何も考えずに創作していたかが見えてくるから不思議です。

仕事にせよ創作にせよ、自分を表現する手段を実行するってのは「日々是勉強」なんだな〜と思いました。





2005.4.18
サブちゃん

今だから感じる素朴な疑問(使う!使われる!編)

部屋を見渡すとテレビがある!パソコンがある!外にでると、車がある!バイクがある!戦車がある! 機械が周りにあふれている生活! ブライスレス!んなこたない! さて車に乗って出かけよう〜 ナビ付きの車やで! 目的地を入れよう! 「300m先を右に回ってください」 へいへいこちらっすね! 「しばらく道なりです」 は〜そうですか! 「目的地周辺です」 あっ到着!ナビ様様やね〜 とまぁ、いいすぎればこんな感じ! ナビがミスればこっちもミスする!

主従関係からすると我々は従になっている! 使われている! 家にかえってくる。 パソコンの電源を入れる! ソフトを使用して何やあれやこれややるやらう! 新しい機能ならでると使おうと機械のほうにあわせるよう努力し、あるソフトが全く使えない状態になったとしたらとたんに何にもできなくなってしまうことになる! 頼りきってしまうほど主でなく従になってしまう! よし今日から機械に逆らっていきてみよう! ふっ めちゃめちゃや! だが自由だ! 便利ではないがな! 便利なためにある一定のルールがある。

便利性を求める限り我々には完全な自由はない! つまり文明を追求する我々は元来自由より束縛を求めているのかもしれない。





2005.4.4
配線部長
「よう、坊主。おまえさんは大丈夫か?」
コンソール下のパネルをはずしていたトメさんが、鳴海くんに質問した。
いつの間にか、マリンさんと鳴海くんの区別がつくようになったみたいだ。
「うん、元気」
鳴海くんは元気そうな声で答えた。
しかし、どこで何をやっていたのかわからないけどあちこち汚れていた。
「そりゃ結構だ。おい小僧、ライトとってくれ」
「はい」
「・・・たしか、この辺にリセットスイッチがあったはずだけ どな」
結構年季の入った宇宙船なので、コンピュータも多少古いらしく、あちこちに継ぎ接 ぎしては拡張してあるみたいだ。
トメさんはさっきあけたパネルの奥に顔と手を突っ込んで何かを探しているみたい だ。
「どう?いけそう?」
「ん〜自分でやったとはいえ、ここまで複雑にしたのかと思う とちょっとあきれるな」
「あはは」
確かに、自分の物はかなり完璧に仕上げるのが好きだからなぁ。けどその後が大変な んだけどね。
「そこにはスイッチはなかったよ」
「ん?そうだったか?」
よいしょと顔を出したトメさんが、明らかに僕に向かって聞いてきた。
「そうなの?」
聞かれた僕は、鳴海くんがいた方を向いた。が、そこにはいなかった。
「さっき調べたもん。スイッチは2つ隣のパネルの下だった よ」
いつの間にか、鳴海くんは僕の隣にいた。
というか、さっき調べたの?
「鳴海くんが調べたの?」
「うん!僕がんばったよ!」
鳴海くんはこっちを向いて、胸を張り、両手を腰に当てて満面の笑みで答えた。
「おぉ、そうか。えらいな坊主」
のそのそと出てきたトメさんが、鳴海くんの頭をなでると、きゃははとうれしそうに 笑った。
「ところで」
トメさんは鳴海くんの目線までしゃがみ込むと、少し表情を変えた。
「おまえさんは今まで何してたんだ?」
トメさんの真剣な表情を読み取ったのか、鳴海くんも真剣な顔でゆっくり答え始め た。
「うん。えっとね、マリンママとお話してたの。
そしたら急にお話できなくなって、それでね、部屋が真っ暗になって、コンピュータ さんが寝ちゃったの」

どうやらこの船のシステムは急に停止したらしい。
けど、なぜマリンさんとの交信ができなくなったのだろう?
「コンピュータさん起こそうとしたけどダメみたいなの。
とりあえず電源を復旧して、それから生命維持装置も動かしたんだよ」

「おまえさん一人でか!?そりゃすげぇな」
なるほど、だからあんなに汚れてたのか。
しかし、どこでそんな技術を身に付けたんだろう?
そして、あの小さな体で作業するには相当な時間が・・・
「ねぇ鳴海くん、生命維持装置を動かすまでにどれくらい時間 がかかったの?」
鳴海くんは少し考えた後、僕のほうを向いて答えた。
「んとね、2回くらいおやつの時間になったよ」
それを聞いて、僕は唖然とした。
「そりゃ本当か!?間違いないな?」
トメさんも少し大きな声で鳴海くんに聞きかえした。
「う、うん・・・」
「なんてこった、残りはあと1日じゃないか」

ぐぅ〜
「・・・おなか空いた」
「そういえば」
「そうだな、とりあえず飯だな」




2005.3.22
tee
熊本産レモンはあまり酸っぱくない事が判明



2005.3.7
後藤 麻理

 3日目。
 シミュレーションを信じるなら、そろそろ目視できるくらいまで近づいたはずだ。
 僕とトメさんは休憩室で食事を取っている。
 料理の当番はマリンさんだったけど、トメさんの料理に刺激を受けたのか、鳴海くんのボディに慣れたのか、今度は普通に食べられる味だった。
「目標、モニターで確認しました」
 制御室からマリンさんの通信が入る。
「随分かかったな」
「元々そばに居たとはいえ、向こうも動いているからしょうがないよ」
「ボーダーラインまではまだ2日残ってるから、余裕があるくらいよ」
 料理のせいかどうかは判らないけど、マリンさんの声からは余裕の表情が伺える
「何か打開策でもあるの?」
「こうなったら言っちゃうけど、実はあのビー球は遠隔操作で動かせるようになっているのよ」
「ビー球が消えた時チラッと言ってたな」
「そ、そうだったかしら?」
「第8世代技術の応用といった所だろう?どこかに技術情報が漏れたみたいだな」
「どうやら、そうらしいわ」
 トメさんの洞察に、マリンさんは苦笑いしたようだった。
 正直、トメさんに洞察されるようでは、情報が漏れるのも当然のような気がする。
「ふぁぁ。腹いっぱいになったら、なんだか眠くなってきたな」
「うん、そうだね。」
「まだしばらくかかりそうだから、二人とも一眠りしたら?」
 マリンさんの勧めで、トメさんと僕は仮眠をとることにした。
 
 どれ位眠っただろうか。
 目が覚めると、辺り異様に静かで、異様に暗かった。
 省電力運転にしては、機器の待機ランプやファンの駆動音もしないのは違和感がある。
 寝ている間に停電にでもなったのだろうか。
 ひとまず、マリンさんの居る制御室へ向かった。
 
 人影が見えるが、辺りが暗いせいで誰だかよくわからない。
 唯一、中央モニターの画面だけが明々と光っている。
「マリンさん?」
「いや、俺だ」
 返事をしたのは、辺りと同じく暗い表情を浮かべたトメさんだった。
「コイツと空調以外は死んでる。復旧も困難だ」
 背後の中央モニターを肩越しに指差しながら説明してくれた。
 そして、唯一の光源となっているモニターには、無機質なタイプ文字でこう表示されていた。
 
「君たちはただ見ているだけでいい」
 
「何これ?」
「知るわけねぇ。俺が来た時からこうだった」
「ビー球を動かした犯人からのメッセージかな」
「かもしれねぇし、あのねぇちゃんかもしれねぇ」
「マリンさんが?そんなはず無いよ」
「言っとくが、俺はまだ信用したわけじゃねぇぞ」
 ゴタゴタに巻き込んだ張本人だし、無理も無いか。
 僕は言い返す言葉を見つけられなかった。
 しばし沈黙。
「で、どうするつもりなの?」
「俺は天邪鬼なんだ。何としてでも手を出してやるね」
 僕だって、こんな事言われて引き下がる気はない。
「でも、時間が…」
「時間が無いならなおさらだ。ぐだぐだ言ってねぇで体動かすぞ」
 それ以上は何も言わず、トメさんは工具箱に手を伸ばした。
 こつり。
 背後から足音がした。
「あー、二人ともやっと起きた」
 マリンさん、いや、口ぶりや仕草から推測すると鳴海くんだった。





2005.3.1
火乃 轟

寒波も影響してか私の周囲でも風邪ひきの姿もちらちら。
インフルエンザは居ない分マシでしょうか。
今朝は水道が凍って大変でした。

とか真面目なふりでもしてみる





2005.2.22
tatae

思いっきり普通の風邪を引いてしまいました。
インフルエンザがはやっているのに・・・。

普通の風邪といっても39度Overの熱が出るので体がだるくて関節がいたい。
起き上がれないので飯が作れない&食えない。(一人暮らしなので)
2日目で死を覚悟しました。かなりやばかったです。
野菜ジュースと豆乳とポカリスエットで生活できますね。

うがいと手洗い忘れずに。
あと、一人暮らしの人は早めに看病してくれる人を見つけましょう。





2005.2.14
東耶 和志

友人の間でついに結婚するヤツ等が出てくるようになりました。
よくよく考えたら今年で20代の前半も終わります……そう考えるとなんかやですねェ(汗

そんな私ですが、今日のイベント、戦利品は2個でした(爆





2005.2.7
サブちゃん

今だから感じる素朴な疑問(何が起こるかわからんたい編)

僕らは未来を知らない! これから先何があるのかなんて知るよしもない! 僕らは何ひとつ知ることない未来のために何かを手に入れたり投げ出したりしてはかなく揺れる行方をめざしている。そんな僕らだからもしを考える。未来に希望を持つ。夢を見るのである。では未来に起こる???かもしれないことについて考えよう。

人生壁にぶつかることがある。もしあなたが行きたい方に壁が現れたならどうしますか?

    1.乗り越える(まぁ〜がんばれや)
    2.己の拳で打ち砕く(漢!漢!漢!)
    3.あきらめる(・・・)
    4.迂回する(賢いかもな)

といったところだろうか! 困ったこの中にはない!俺なら爆破するとか私なら壁ぬけするとかいう意見もあるだろう。

では、あなたは道をあるいていたら宇宙人にあいました。あなたならどうしますか?

    1.たたかう
    2.じゅもん
    3.ぼうぎょ
    4.どうぐ

といったところだろうか!にげるがないではないかという意見がでるだろうがしかしまわりこまれたとなるだけである。友達になるとはなかなかいうは易いが行い難しだ!

またこいつは変なこと言いやがっていうだろう。しかし先を考えそれに対する備えをすることは大事であるということをこの前保険屋のおばちゃんからいわれ続けてうんざりしたとさ!めでたしめでたし! まじ長かった!





2005.1.31
配線部長

2日目。
「しっかし、お前さんの上司は何だって俺たちに仕事を依頼し てきたんだ?」
今朝も早々からトメさんは鳴海くんを質問攻めにしていた。
「あんなモン、お前さんたちで何とかできるだろ?
それに、どう考えたって今のお前さんたちは軍機違反してるとしか思えねぇ。
第一、深海嬢ちゃんのことにしろ、この坊主のことにしろ、
一介の民間人である俺たちにペラペラと秘密をぶちまけているところが怪しい」

確かに、マリンさんの行動は謎だらけだ。
最初に出会ったとき、なぜあんなに深海ちゃんのことを詳しく教えてくれたんだろう か。
しかし、今回は全く情報がない。
今までとは比べ物にならないくらい機密レベルが高い情報なのか。
「・・・おっしゃっていることは良く分かります。ですが、 私も立場が微妙なもので」
そう言うと、鳴海くんはうつむいてしまった。
トメさんは腕を組んでじっと鳴海くんの方を見ていた。
しばらく重い空気が辺りに漂う。

だめだ、このままじゃ押しつぶされそう。
この状況を打開するには、とりあえず話題を変えてみよう。
「あの・・・」
2人とも微動だにしない。
「えっと・・・」
とりあえず話題を・・・
「その・・・」
そのとき、トメさんが重い口を開いた。
「おし。くたびれるだけだから、聞くのはこれくらいにしよ う。
飯でも食って、またビー球と追いかけっこするかな」

そういうと、のそっと立ち上がってキッチン方面へ移動し始めた。
「そ、そうだね。僕さっきから腹ペコなんだ」
かなり苦しい。もちろん腹など減ってないんだけど。
「っと、これが最後の質問だ」
途中まで行って止まった。
「マリンさんよ」
「・・・はい」
ようやく鳴海くんが顔を上げた。
「今日の気分は米か?それとも麺か?」
「は?」
思わず変な声を上げてしまった。
そんなこととは関係なく、鳴海くんは冷静に答えた。
「そうね、私は麺かしら」
「お、奇遇だね。俺も今日は麺なんだ」
マリンさんの答えを聞くと、くるりと向き直って親指を立て、まるで子供のように ニッと笑い、
鼻歌を歌いながらトメさんはキッチンへ向かった。
「うふふっ」
鳴海くんが笑った。・・・けど、笑っているのはマリンさん。複雑だ。

トメさんのおかげで、ちょっとだけ場の雰囲気が和んだみたいだ。
「はぁ、完全に取り残された・・・」
落ち込む僕を除いて。





2005.1.18
tee

今、日本で一番歌がうまいのはドリカムのボーカルだと思う。





2005.1.11
後藤 麻理

「じゃ、ぱぱっと作ってくる」
「パンチの効いたヤツを頼む」
 結局、鳴海君を問い詰めても、何も出てこなかった。
 彼の口が硬かったというのもあるけど、いざという時になってマリンさんが深海君を乗っ取ってしまったからだ。
 らちがあかないので、食事でもしながら話し合おうという事になり、キッチンへ準備しに来たところだ。
 
「私も手伝うわよ」
 鳴海くんに乗り移ったマリンさんがついてきた
「ありがと。じゃそっちで野菜洗ってて」
「オッケー」
 背中から鼻歌交じりにレタスを洗う音が聞こえる。
 宇宙船では水は貴重だから、とても「ジャブジャブ」とは洗えないが。
 
「余裕があるみたいだけど、どれ位あるの?」
「えーっと、あと四、五枚かな?」
「レタスじゃなくて、ビー球だよ。火星と衝突するかもしれないんでしょう?」
「ああ、その事ね。概算だけど、衝突コースの変更が不可能になるまで、120時間って所かしら」
 レタスを洗い終わった鳴海くんがこっちへ寄ってきた。
「5日かぁ」
 ココまで来るのにかけた時間を考えれば、フォボスから援軍が来るとしたらギリギリの時間。
 つまり、僕らの船、3人のクルーだけで現状を打破しなくてはならない事になる。
「それほど余裕ってわけでもないね」
「そんなに深刻にならなくてもいいわよ。もとから運ぶつもりだったんだし、相対距離もキープできてるんだから」
 
 発言はマトモだが、行動は幼い鳴海くん。洗ったレタスを置こうとしているが、明らかに背が足りていない。
「ちょっと、手伝ってよ」
「そっちが手伝ってくれるんじゃなかったの?」
 文句を言いながらも、両脇を抱えて鳴海くんを持ち上げた。
「ど、どこ触ってんのよ、このスケベ!」
 予想外にじたばたする鳴海くん。手伝えって言ったから持ち上げてあげたのに。
「外見は鳴海くんでも、中身は見目麗しきお姉さまだって事忘れないでよ?第8世代では五感全てが繋がるんだから、突然両脇つかまれたらびっくりするじゃない」
「ごめん」
 
「さー、できたわよ!」
「お、中華か。なかなか美味そうだな」
「美味そうじゃなくて、美味いのよ」
 マリンさんの料理の腕は、想像を絶するものだった。
 それも、悪い方に。
「トメさんの注文どおり、パンチが効いてるから注意してね」
 マリンさんは成美君の体に慣れていないからだと言うが、水と油を間違えるのは、慣れでは済まされないと思う。
 本人もやばいと思ったのか、途中で鳴海くんの操縦をプロのシェフと交代する始末。
 さすがプロといったところか、なぜか見た目だけはきれいに整ったメインディッシュを食卓へ運んだのだが・・・
「僕味見でおなかいっぱいになったから、トメさん全部食べていいよ」
 とても食べる気にはなれなかった。
「そうか?これから一仕事あるから腹ごしらえはしといた方が良いぞ」
 見た目に蝌されて何の疑問も抱かず口へと運ぶトメさん。
 こうして貴重な一日が無駄に過ぎていった。
 





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